水戸地方裁判所 平成7年(わ)143号 判決 1995年11月07日
裁判所書記官
田要
本店所在地
茨城県鹿島郡神栖町知手中央二丁目一番二号
三国屋サルベージ株式会社
(代表者代表取締役安藤徳司)
本籍
千葉県銚子市四日市場町一二五番地の六
住居
右同
会社役員
安藤徳司
昭和二二年五月四日生
主文
被告人三国屋サルベージ株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人安藤徳司を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人安藤徳司に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
(犯罪事実)
被告人三国屋サルベージ株式会社は、茨城県鹿島郡神栖町知手中央二丁目一番二号に本店を置き、水中工事、港湾土木、灯台建設、修理や土木建築工事の請負等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人安藤徳司は、被告会社の代表取締役会長として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人安藤は、被告会社の業務に関して、法人税を免れようと企て、特別賞与を水増し計上して借名定期預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八五二三万九五二九円あったのにかかわらず、平成三年一二月二日、茨城県行方郡潮来町大字延方甲一三五八番地所轄潮来税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四四四八万五一〇〇円でこれに対する法人税額が一五七九万〇六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の事業年度における正規の法人税額三一〇七万三三〇〇円と右申告税額との差額一五二八万二七〇〇円を免れた
第二 平成三年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億〇二九八万五〇二〇円あったのにかかわらず、平成四年一一月三〇日、前記潮来税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六一七七万一一八九円でこれに対する法人税額が二二二三万三五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の事業年度における正規の法人税額一億一二六八万八八〇〇円と右申告税額との差額九〇四五万五三〇〇円を免れた
第三 平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億六三三九万四七六九円あったのにかかわらず、平成五年一一月三〇日、前記潮来税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七〇四〇万五〇六四円でこれに対する法人税額が二五五五万二九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の事業年度における正規の法人税額九七九二万三八〇〇円と右申告税額との差額七二三七万〇九〇〇円を免れた。
(証拠)
カッコ内の番号は証拠等関係カードにおける検察官の請求証拠番号を示す。
判示全部の事実について
一 被告人の
1 公判供述
2 検察官調書二通(乙2、3)
一 木股健二(七通)、作井満(二通)の各検察官調書
一 網中喜一郎、辻谷忠男の質問てん末書
一 回答書
一 海外工事収入高調査書、労務費調査書、外注費調査書、給与手当(海外工事原価)調査書、厚生費(海外工事原価)調査書、事務費(海外工事原価)調査書、消耗資材費(海外工事原価)調査書、減価償却費調査書、接待交際費調査書、交際費の損金不算入額調査書、役員報酬調査書、役員賞与の損金不算入額調査書、給与手当(販売費及び一般管理費)調査書、厚生費(販売費及び一般管理費)調査書、広告宣伝費(販売費及び一般管理費)調査書、手数料調査書、雑収入調査書、固定資産売却益調査書、雑損失調査書、固定資産廃棄損調査書、手取利息調査書、貸倒損失調査書、損金の額に算入した都府県民税利子割調査書、事業税認定損調査書
(法令の適用)
1 罰条
いずれも法人税法一五九条一項(被告会社については同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用する。
2 刑種の選択
被告人については懲役刑を選択
3 併合罪加重
以上は平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により、合算した金額の範囲内で、被告人については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をする。
4 執行猶予
被告人について同法二五条一項
(出席した検察官 岩城洋、同弁護人 紺野稔、伊東博、松江頼篤)
(求刑 被告会社について罰金五〇〇〇〇万円、被告人について懲役一年六月)
(裁判官 駒井雅之)